c4j輪読会 貧乏人の経済学 第6回 第10章 レジュメ
政策と政治
政策が実施されなければ意味がない
ウガンダ
学校への補助金
実際に学校に届いたのは13%
RCTを採用したことで開発研究者たちの志が下がってしまった
真の問題
よい政策が何かを突き止めることではない
政治的なプロセスをきちんとすること
よい政治がなければまともに計測できる形でよい政策を設計したり実施したりするのは不可能
汚職による貧困の罠
貧困が汚職を生み出し、汚職が貧困を生み出す
横領
新聞で報じられたら解決した
だれもそれを気にしていなかったから
tks.icon貧乏な国、お金がらみの悪事についても結構イノセントなのかもしれない
Koichiro Shiratori.icon報道されたら是正されるというのは、一部の先進国でも当たり前ではなかったり……
政治経済
制度の定義
経済制度は経済インセンティブを形成する。それは教育を受けようとするインセンティブ、貯蓄して投資しようとするインセンティブ、イノベーションを行い新技術を採用しようとするインセンティブなどである。政治制度は市民が政治家をどこまでコントロールできるかも決める
大きな制度
よい経済制度で社会は繁栄する
ダメな経済制度は反対の効果を持つ
経済制度を構築する支配者が市民が繁栄することが自分にとってよいとは考えない
だれが何をしていいかたくさん制約をかけるほうが得かも
競合を弱いままにしておいたほうが実は権勢が長続きするかも
政治制度も重要
経済を私利私欲のために組織するのを防ぐ
ダメな制度はダメな制度を生み出す悪循環にある
寡頭政治の鉄則
権力の座についた人々
自分が豊かになるように腐心する
十分豊かになったら権力の座を維持するためにその富を使う
発展途上国
植民地時代から引き継いだ制度
植民地支配者が自分の利益になるよう、資源を最大限収奪できる構造
インドの政治制度
土地税の収集方法が偶然の理由で地域ごとに違ったものになっている
エリート支配下に置かれた地域はダメな感じのまま
地方が自治している地域は結構悪くない感じ
ダメな政治と経済制度の悪循環を脱出するのは不可能ではない
2つのグループ
ダメな制度のおかげで行き詰まった国を富裕国が武力によって手助けする、トップダウングループ
制度や政策をトップダウンで操作する試みは失敗まちがいなしで、変化は内側から起こるしか無い、ボトムアップグループ
外から変化を輸入する
自分で国を運営できないなら、できる人にそれを外注すればいい
国をまるごと運営するのはむずかしい
都市から始めたらどうか
例:香港
「世界には60のどうしようもない国がある」
tks.iconこの辺山形さんのご意見を聞きたいところ
smellman.icon 寡頭政治の悪循環がすごくわかりやすかった。
smellman.icon 香港は今後どうなるのか...
国のうまい運営方法を知るよりも国を占拠するほうが簡単
制度は地元の環境にあわせて調整が必要
トップダウンで変えようとする試みは逆噴射することになる
外国援助への懐疑
国の指導者が腐敗していても援助を与え続けることで政治を悪化させることが多い
そっとしておいてあげなくては派
自由
政治的自由
経済的自由
自由市場
興味も持っていない人々に対して教育や医療を押し付けるのをやめろ
自由市場が常に完全にうまくいくとは限らない
運転方法を知らない人が車の運転をしたがる自由を許したらハチャメチャになる
国が腐敗していると自由市場は賄賂や汚職を通じて再登場する
運転方法を知らない人でも役人に賄賂渡したら運転免許がもらえる
tks.iconインドネシアだ... リークアンユーは一貫して「やばい国でヘタに民主主義やると、ダメ選挙対策とワイロと汚職ばっかりでガタガタになる」と言い続けていた(が、シンガポールみたいな突然変異は非常に珍しいので、難しい問題) Koichiro Shiratori.icon「自由がよい」というようなシンプルな原理だけだと解像度が低すぎるのかも
Junna.iconたとえば20代東京在住IT企業勤めと80代地方農家地主だと同じ国民でもけっこうな面で利益相反するので
選挙と代議士制を通じて、かろうじて調整というかなんとなく納得してるだけなので
トップダウンや都市レベルはともかくチャーター国家は難しそう(最大多数の最大幸福を落としどころにするのは難しそう) --
政府の必要性
基本的な共有財(コモンズ)の提供
市場の機能に必要なルールや規範の強制
強制される自由はありえない
ダメな制度はしつこい
それを排除する自然のプロセスなどないかもしれない
外から制度変革を押し付けようという戦略(トップダウン)と放っておけばそのうち人々が自然に自分で問題を解決する(ボトムアップ)という希望
著者たちは両方同様に疑念を持つ
制度の定義について基本的なものを見落としている?
制度は活動のルールを定義づける
制度とは法律の組み合わせや現場の運用で構成されている
制度が貧乏な人の生活にどう影響するかを理解するためには制度から制度に視点を移す必要がある
ぼくのかんがえたさいきょうのこっかたいせいを引っ提げてリアルシムシティをやる。楽しそうJunna.icon
Koichiro Shiratori.icon制度から制度、なるほど
周縁部での変化
汚職を減らすのに制度の根本的な変化は必ずしも必要ない
地方に部分的に民主主義を導入する
中国
村落レベルでの選挙
誰が出馬できるかは共産党が決めていた
投票箱にはあらかじめ票が仕込んであった
それでもマシになった
汚職や横領との戦い
監査するんだぞと脅すと効果あり
インドの警察の職務怠慢
未解決の事件が多いと評価が下がる
yuiseki.iconKPIの設定おかしい
評価を上げるためには、事件を記録しない
職務怠慢
覆面・おとりによって事件記録率を記録していると伝えた
4割から7割に上がった
インド
全国民に固有IDを与える
指紋と虹彩の写真と結びつける
不正を防げるかも知れない
tks.iconアダールですね 僕これかなり詳しい インディアスタック
一連のAPI群
ユニバーサルペイメントシステム
キャッシュレスを実現しようとしている
Koichiro Shiratori.icon人の目がここまで有効だとは予想外、たとえば超低投票率社会では政治家はやりたい放題に!?
smellman.icon警察の職務怠慢は日本でもあると思っている(例えば大使館ナンバーは取り締まらないとか)。ここらへんも監視でなんとかなるのかな?
tks.icon中国で手続きが電子化されてワイロがすげえ減った、という例がいっぱいある
分権化と民主主義の実態
よい制度がう7まく機能するという保証はない
ルールのちょっとした改訂が重要な効果を持つことがある
ブラジル
複雑な投票用紙
識字率が低い
25%が無効票
1990年代に電子投票を導入
画面上の番号を選ぶだけで良い
候補者の顔写真が画面に出る
無効票が11%少なくなった
貧乏で教育水準の低い人々が投票するようになった
選挙結果にも変化があった
貧乏で教育水準の低い政治家が選ばれるようになった
貧乏な人を対象にした政策を実施
公共衛生での支出が増えた
未熟児の数が減った
Junna.iconいいとこづくめなのに、ブラジルはなぜ保守回帰もするんだろうか?
smellman.icon日本でも電子投票を採用してほしい。顔が見られるだけでもずいぶん変わりそう。
ブラジルのほうが進んでると思ってしまったyuiseki.icon
boilingfrog.icon
貧乏で教育水準は低いが志の高い政治家が、貧乏な人のための政策を立案実施できるという前提ですね。
権力を人々に
反貧困政策の受益者に責任を任せる
地元コミュニティに意思決定を任せる
当事者が一番被害を被るかもしれないからちゃんとやるインセンティブがある
当事者が一番需要を知っているし問題の情報も持っている
実施方法がかなり問題
細部にきわめて大きく依存する
少数派や貧乏な人を排除してしまったら?
実際は渋い
インドネシアのクチャマタン開発プロジェクト(KDP)
数百人のうち50人が出席
発言したのは8人
うち7人はエリート層
ちょっとルールを変える
手紙によって集会出席を依頼
出席者は65人に増えた
38人はエリート層以外
発言する村人も増えた
ルールで大きな違いが生まれるとしたら、だれがそのルールを作るかが重要になる
中央化された権力が分権化を設計したほうがよいのかも
インドのグラム・パンチャヤット(GP)
村長は女性や各種少数派(低カーストを含む)とされている
どうせ傀儡になって意味がない?
夫が裏で糸を引いているとか監視してるとか
調査の結果:意味あった
女性村長は女性の求めるインフラに投資していた
しかも同じ予算のなかで男性よりもより多くの成果を挙げ、賄賂を受け取る率も少ない
絶対におかしいという人もいる
いきなり強力な女性がバリバリ先頭に立って村を改革するということにはならない
それでも状況を左右している
Koichiro Shiratori.iconプロジェクトの成否がプロセスの細部に依存するというのは本当にそうだと思った。最終的には実施する人間の現場の判断が重要であり、教育・トレーニングがカギであろうといつも思っている
民族分断をごまかす
投票における民族
投票が民族に対する忠誠心を根拠に行われる
最大の民族集団の候補者が当選してしまう
民族に基づく投票は一般に信じられているほど根深いものではない
「カーストで選ぶな、開発問題で選ぼう」という単純なスローガンを無作為に選んだ村で実施
自分のカーストの候補者を選ぶ確率を25%から18%に低下
ブラジル
くじびきで60の自治体を選び、帳簿を監査し、インターネットと地元メディアで公開
選挙結果を左右している
現職者の実績についての情報を与えると選挙結果が左右される
Koichiro Shiratori.icon希望の持てる部分
政治経済に抗して
教訓:使える余地はなんでも使え
よい政策はダメな政治環境でも生じる
ダメな政策はよい政治環境でも生じる
スハルト政権(独裁・腐敗)
教育を改善
栄養状態も改善
政治エリートも貧乏な人に有益な政策も実施するほうが彼らの利益になったりする
逆も真なり
最高の善意から最悪の政策が生まれ得る
政府がいかに善意であってもやろうとしていることがそもそも根本的にむずかしい
政府:市場で解決できない問題を解決するために存在している
≒自由市場ではうまくいかない場合
看護師たちをサボらず出勤させようとするプロジェクト
大失敗
不正がさらに横行
そもそも無理な仕事が求められている
3I
Ideology, Ignorance, Inertia
イデオロギー、無知、惰性
よい政策がよい政治への第一歩ということもあり得るかも?
ボトムアップで政策を微調整することで政治すら変えられるかもしれない
smellman.icon スカルノ政権が腐敗、汚職がすごいのに教育に力を入れたり何がよいのか混乱する感じがすごく面白かった
Koichiro Shiratori.icon言われてみれば確かに、という節。わかったつもりになる誘惑に抗していく必要がある
tks.icon イデオロギー、無知、惰性死ぬほどこわい (中国の一人っ子政策は惰性で最近まで続いていて、全体主義の中国なら20-30年ぐらい早く止められたはず)
yuiseki.icon
https://gyazo.com/633f76ff0488d259f3ed9de5604ab9a6
https://gyazo.com/f6c32b01ac4186445cc2df6a8b0eec7e
https://gyazo.com/74902c8e027976e18d56b2e2adfa57e6
Hiroo Yamagata(@hiyori13)
お台場のガンダムでガキが500円のガチャをやりたがり、ダメと言われて泣きそうになっていたら何度か続けてやっていた隣のカップルが「同じ色が出て、いらないからあげる」とあっさりくれた。ありがとうございます!
Koichiro Shiratori.icon政治とは、情熱と判断力の2つを駆使しながら、堅い板に力をこめてじわっじわっと穴をくりぬいていく作業である。(マックス・ウェーバー) +1tkgshn.icon
穏便な革命は「政治」である
珍しく希望の持てるオチの章だったJunna.icon